【1級FP監修】2026年度税制改正をわかりやすく解説|家計への影響一覧

2026年度税制改正の関連法案は3月31日に成立し、原則として4月1日に施行されました。
今回の改正は、物価高に配慮しながら家計を下支えする一方で、住宅、投資、企業税制、資産課税まで広く見直したのが特徴です。
ただし、実際には2026年に始まるもの、2027年から始まるもの、2028年から始まるものが混在しています。
「今年から始まる改正」と「来年以降から始まる改正」を分けて把握しましょう。
【結論】税制改正を理解して、家計金融の最適解を検討しましょう。
家計に関係する主な改正と開始時期
| 主な改正 | いつから | 家計への主な影響 |
|---|---|---|
| 所得税の課税最低限を178万円へ | 2026年分・2027年分 | 給与収入のみの人は、所得税がかかり始める目安が160万円から178万円へ |
| 扶養親族・配偶者等の所得要件引上げ | 原則2026年分 | 給与収入のみの場合、扶養判定の目安が123万円から136万円へ |
| 住宅ローン控除の延長・拡充 | 2026~2030年入居 | 省エネ性能の高い既存住宅、子育て・若者夫婦世帯への支援を拡充 |
| 18歳未満のNISA | 2027年1月1日から | 年間60万円、非課税保有限度額600万円のつみたて投資枠を利用可能 |
| 貸付用不動産の相続税評価見直し | 2027年1月1日以後の相続等 | 相続直前に取得・新築した一定の賃貸不動産による評価圧縮を制限 |
| 暗号資産の申告分離課税 | 金融商品取引法改正法の施行年の翌年から | 一定の暗号資産を20%で分離課税。2026年分から直ちに適用される制度ではない |
| 青色申告特別控除の見直し | 2027年分から | e-Taxや一定の電子帳簿保存により65万円・75万円控除へ |
年収の壁は178万円は所得税
「年収の壁」の改正では、物価上昇に連動して基礎控除などを見直す仕組みを設けたうえで、基礎控除の本則部分を4万円引き上げ、給与所得控除の最低保障額も65万円から69万円に引き上げます。
さらに、2026年分と2027年分には、基礎控除の特例加算と、給与所得控除の最低保障額をさらに5万円引き上げる特例が設けられ、所得税の課税最低限を178万円までと設定されました。
給与収入のみで一定の低所得者の場合は、次の計算になります。
| 項目 | 2025年分 | 2026年分・2027年分 |
| 基礎控除 | 95万円 | 104万円(本則62万円+特例42万円) |
| 給与所得控除の最低額 | 65万円 | 74万円(本則69万円+特例5万円) |
| 所得税の課税最低限 | 160万円 | 178万円 |
つまり、他の所得がなく、給与所得控除と基礎控除だけで計算する場合は、給与収入178万円まで課税所得が0円となる仕組みです。
なお、基礎控除104万円は合計所得金額489万円以下の人に適用されるため、今回の改正はパート・アルバイトだけでなく、給与年収約665万円以下の会社員にも影響します。
ただし、年収によって控除の増加額は異なり、実際の減税額は社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除などによって変わります。
住宅ローン控除
住宅ローン減税は、家計への影響が大きい改正の一つです。
適用期限は5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居が対象になります。
2026年以降は、省エネ性能の高い既存住宅の借入限度額引上げや、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ、控除期間13年、そして既存住宅にも40㎡要件緩和が広がります。
一方で、土砂災害等の災害レッドゾーンにある新築住宅は、2028年以降の入居分から対象外となります。
2026年以後に入居する場合の主な借入限度額
| 住宅の区分 | 一般世帯 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
| 認定住宅の新築等 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅の新築等 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅の新築等 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅の既存住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅の既存住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の既存住宅・一定の増改築等 | 2,000万円 | 原則同額 | 10年 |
※省エネ基準適合住宅の新築等は、2028年以後に建築確認を受ける場合などに対象外となるため、経過措置を含め個別確認が必要です。
※子育て世帯・若者夫婦世帯とは、本人が40歳未満で配偶者がいる人、40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人をいいます。
床面積40㎡以上へ緩和。ただし所得要件に注意
床面積要件は、新築住宅・既存住宅ともに40㎡以上へ緩和されました。ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は、その年の合計所得金額が1,000万円を超えると適用できません。また、子育て世帯等の借入限度額上乗せを利用する場合は、原則として50㎡以上が必要です。
2028年以後は災害レッドゾーンの新築住宅を対象外に
2028年1月1日以後に入居する一定の新築住宅について、土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンにある場合は住宅ローン控除の対象外となります。
ただし、既存住宅、リフォーム、一定の建替えは一律に対象外となるわけではありません。また、一般的なハザードマップの色だけで判断せず、法令上の指定区域と建築確認時点を確認する必要があります。
住宅購入を検討している人は、価格や金利だけでなく、住宅性能、床面積、入居時期、災害区域の指定を契約前に確認しましょう。
子どもNISA
今回の改正では、NISAのつみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0〜17歳の未成年向け枠が設けられます。
年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円で、12歳以降は子の同意がある場合に限って払い出しも可能です。
子どもの教育資金をすべて投資に回すのではなく、数年以内に使うお金は預貯金、長期間使わないお金は積立投資というように、使う時期に合わせて分けることが大切です。
| 項目 | 18歳未満のNISA |
| 対象年齢 | 0~17歳 |
| 利用できる枠 | つみたて投資枠 |
| 年間投資上限額 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 払出し | 18歳未満は原則制限。12歳以後は本人のために使うなど一定の要件で可能 |
【関連記事】子どもNISA解禁、今からできる事前準備や積立プランなど解説
相続・贈与|教育資金贈与は終了、貸付用不動産の評価を見直し
教育資金の一括贈与の非課税措置は2026年3月31日で終了
祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、2026年3月31日の適用期限が延長されず終了しました。
2026年4月1日以後に新たに契約して、この非課税措置を利用することはできません。すでに契約済みの教育資金管理契約については、契約内容と既存制度のルールに沿って管理・精算します。
なお、扶養義務者がその都度負担する通常必要な教育費は、要件を満たせば贈与税がかからない取扱いがあります。一括贈与制度の終了と、日常の教育費負担は分けて考えましょう。
相続前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産
2027年1月1日以後の相続・遺贈等から、被相続人などが相続開始前5年以内に対価を伴う取引で取得・新築した一定の貸付用不動産は、原則として相続時の通常の取引価額に相当する金額で評価します。
課税上の弊害がない場合は、取得価額を基に地価変動などを考慮して計算した価額の80%相当額で評価できる取扱いも設けられています。また、不動産小口化商品など一定の権利は、取得時期にかかわらず見直しの対象となります。
「相続直前に収益不動産を買えば必ず大幅に評価を下げられる」という考え方は通用しにくくなります。最近取得した賃貸不動産や小口化商品がある場合は、相続税評価を早めに再確認しましょう。
極めて高い所得への追加負担も強化
2027年分以後の所得税から、極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置も強化されます。基準所得金額から控除する特別控除額は3億3,000万円から1億6,500万円へ、計算に用いる税率は22.5%から30%へ見直されます。
一般的な給与所得者への影響は限定的ですが、多額の株式譲渡益や不動産譲渡益がある年は確認が必要です。
暗号資産は20%の申告分離課税へ。ただし開始日は要注意
一定の暗号資産取引について、他の所得と分けて20%(所得税15%・個人住民税5%)で課税する仕組みが設けられました。対象となる暗号資産の損失は、一定の要件で翌年以後3年間繰り越せる予定です。
ただし、「2026年度税制改正が成立したので、2026年分の暗号資産利益から一律20%になった」という理解は誤りです。
対象は、登録簿に登録された特定暗号資産を、暗号資産取引業を行う者に対して譲渡するなど一定の取引です。申告分離課税の開始は、2026年7月23日に公布された金融商品取引法等の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日です。したがって、2026年分の暗号資産利益は新しい20%分離課税の対象ではなく、従来どおり原則として雑所得などの総合課税で申告します。
売却を検討する際は、制度の施行日、対象銘柄、対象取引を最新の公表資料で確認してください。
個人事業主|青色申告特別控除とインボイス経過措置
青色申告特別控除は最大75万円へ
2027年分以後の所得税から、青色申告特別控除は次のように見直されます。
- 期限内にe-Taxで確定申告書・貸借対照表・損益計算書等を提出するなどの要件を満たす場合:65万円
- 上記に加え、仕訳帳・総勘定元帳について一定水準の電子帳簿保存などの要件を満たす場合:75万円
一方、10万円控除については、前々年の事業所得または不動産所得の収入金額が1,000万円を超える一定の事業者が簡易な簿記だけで記録している場合、対象から外れる見直しがあります。
控除額だけでなく、帳簿・電子保存・e-Taxの要件を先に確認し、2027年を迎える前に会計処理を整えましょう。
インボイスの2割特例終了後に個人事業者向け3割特例
インボイス制度の2割特例終了後、一定の個人事業者について、2027年分・2028年分は消費税の納税額を売上税額の3割とできる措置が設けられます。
また、免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置は、2026年10月から控除割合が7割になります。取引先との価格設定、請求書管理、納税資金の準備を早めに見直しましょう。
そのほか家計に関係する改正
| 改正 | 主な内容 |
| ひとり親控除 | 所得税は35万円から38万円へ(2027年分以後)。個人住民税は30万円から33万円へ(2028年度分以後) |
| 通勤手当の非課税限度額 | 片道65km以上の区分を細分化し限度額を引上げ。一定の駐車場代は月5,000円を上限に加算(2026年4月以後) |
| 会社からの食事支給 | 使用者負担の非課税上限を月3,500円から7,500円へ。深夜勤務の夜食代は1回300円から650円へ |
| セルフメディケーション税制 | スイッチOTC医薬品部分を恒久化し、対象範囲も見直し(主に2027年分以後) |
| 防衛特別所得税 | 2027年1月から所得税額の1%。同時に復興特別所得税率を1%下げるため、当面の合計付加税率は変わらないが、復興特別所得税の期間は10年延長 |
2026年度税制改正で今から確認したいこと
改正を知るだけでなく、自分の家計で何を確認するかが重要です。
- パート・アルバイト:所得税だけでなく、住民税、社会保険、勤務先の手当を分けて確認する
- 扶養親族がいる会社員:2026年の扶養控除等申告書を見直す
- 住宅購入予定者:住宅性能、床面積、入居年、災害区域の指定を契約前に確認する
- 子育て世帯:親のNISA、預貯金、2027年開始の子どもNISAの優先順位を決める
- 不動産オーナー・相続予定者:最近取得した貸付用不動産や小口化商品の評価を再確認する
- 暗号資産投資家:20%課税の開始時期と対象取引が確定するまでは、現行税制を前提に納税資金を確保する
- 個人事業主:e-Tax、電子帳簿保存、インボイス経過措置への対応を準備する
消費者として一次情報を取得する大切さ
2026年度税制改正では、所得税の課税最低限が178万円へ引き上げられ、扶養判定、住宅ローン控除、子どもNISA、相続税評価、暗号資産課税なども大きく変わりました。
一方で、178万円は所得税の目安であって社会保険の扶養基準ではありません。また、子どもNISAは2027年開始、暗号資産の20%分離課税は金融商品取引法等の施行時期に連動するなど、適用時期は制度ごとに異なります。
税制改正によって有利になる制度があっても、家計全体の収支、住宅購入、教育資金、老後資金、資産運用を別々に考えると、最適な選択を見誤ることがあります。
賢い消費者として、二次情報を鵜吞みにするのではく、国税庁からの一次情報を取得して正確な家計金融にお取り組みください。
PrivateFpは数多くのファイナンシャル・プランニングの経験から家計に合ったオーダーメイドのファイナンシャル・プラン作りをサポートしています。
相談者に合った「最適解」を一緒に検討、お気軽に相談ください。
Q&A よくある質問
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「178万円の壁」とは、年収178万円まで税金も社会保険もかからないという意味ですか?
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そうではありません。主に給与収入に対する所得税の課税最低限の話で、社会保険の加入要件とは別です。
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178万円はこの先もずっと続く数字ですか?
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2026年分・2027年分については基礎控除の特例加算42万円と、給与所得控除の最低保障額をさらに5万円引き上げる特例が設けられています。一方、2028年分以後は基礎控除の加算額が37万円とされており、「178万円」は当面の特例の数字と見ておくのが安全です。
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住宅ローン減税は、災害リスク地域だと2026年からすぐ使えなくなりますか。
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すぐではありません。土砂災害等の災害レッドゾーンにある新築住宅が対象外になるのは、2028年以降の入居分からです。しかも、建替え・既存住宅・リフォームは対象外ではありません。
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投資用不動産による相続対策への影響はありますか?
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課税時期前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産などは、2027年1月1日以後の相続等から、通常の取引価額に相当する金額で評価する仕組みに見直されます。最近取得した賃貸用不動産ほど、影響確認が大切になります。
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子どもNISAはいつから利用できますか?
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2027年1月1日からです。0~17歳が年間60万円、非課税保有限度額600万円のつみたて投資枠を利用できます。
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暗号資産はすでに一律20%課税ですか?
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いいえ。2026年分の利益から直ちに一律20%になるわけではありません。新制度は一定の特定暗号資産・取引が対象で、金融商品取引法等の改正法の施行年の翌年1月1日から適用されます。
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