【1級FP監修】NISAを今から始めるのは遅くない!60代・70代・80代の資産づくり

「もう60代だから、NISAを始めるには遅いのでは?」
「70代・80代でも、投資を検討する意味はある?」
NISAを今から始めようと思っても、年齢や老後のお金を考えると、迷うことがあります。
NISAには制度上の上限年齢がありません。年齢だけを理由に、利用を諦める必要はありません。 ただし、投資で利益が出る保証はなく、必要な生活資金まで投資に回すことは慎重に考えましょう。
大切なのは、「そのお金を誰が、いつ、何のために使うか」を整理することです。この記事では、60代・70代・80代からのNISAの始め方と、資産配分、相続時の注意点を解説します。
【結論】NISAの設計は、お金の誰が、いつ、何のために使うか、という視点で設計して始めよう。
NISAの設計はお金の使い道から考える
同じ70歳の方でも、年金で生活費をまかなえる方と、毎月預貯金を取り崩す方では、投資に回せる金額が異なります。
例えば、来年の住宅修繕に使うお金と、当面使う予定のないお金では、適した管理方法が変わります。
まず、ご自身やご家族が必要とするお金を確認し、そのうえで投資する金額と方法を考えましょう。NISAの非課税枠から、使えるお金を逆算する必要はありません。
NISAの概要と年齢対象
NISAは、対象となる株式や投資信託などを購入し、制度の要件を満たす売却益や配当・分配金を非課税にできる制度です。
2026年の利用対象は、日本国内に住み、利用する年の1月1日時点で18歳以上の方です。制度上の上限年齢はありませんが、実際の口座開設や取引の確認手続きは金融機関に確認してください。
| 項目 | 18歳以上の方の制度 |
| つみたて投資枠 | 年間120万円まで |
| 成長投資枠 | 年間240万円まで |
| 併用した年間投資枠 | 合計360万円まで |
| 非課税保有限度額 | 保有商品の取得額で合計1,800万円 |
| 成長投資枠の保有限度額 | 上記1,800万円のうち1,200万円まで |
| 非課税保有期間 | 2024年以降のNISAは無期限 |
毎年360万円を投資したり、1,800万円の枠を使い切ったりする必要はありません。
売却した商品の取得額に相当する非課税保有限度額は、翌年以降に再利用できます。ただし、売却によって、その年に使用した年間投資枠が復活するわけではありません。再利用時にも年間投資枠が適用されます。
また、同一年分の新規買付けは1つの金融機関で行います。一定の手続きにより年単位で変更できますが、その年にすでに買付けをしている場合、その年分は変更できません。
NISAの概要
NISAは、株式や投資信託などから得られる売却益や配当・分配金が非課税になる制度です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内の利益は非課税になります。また、2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限となり、制度も恒久化されました。年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計で年間360万円まで。生涯の非課税保有限度額は最大1,800万円です。
一人一口座しか作れない重要な制度です。
60歳代以降も将来の資金計画を考える
厚生労働省の「令和7(2025)年簡易生命表」によると、主な年齢の平均余命は次のとおりです。
| 年齢 | 男性の平均余命 | 女性の平均余命 |
| 60歳 | 23.86年 | 29.07年 |
| 70歳 | 15.78年 | 20.10年 |
| 80歳 | 9.10年 | 11.95年 |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表」
平均余命は統計上の数値で、個人の寿命や投資を続けられる期間を保証するものではありません。
長生きに備える一方で、医療・介護や住まいの支出が早い時期に必要になる可能性もあります。投資する期間は、平均余命だけで決めず、お金を使う時期から考えましょう。
アセットアロケーションは資産全体で整理
アセットアロケーションとは、預貯金、株式、債券などに、資産をどのような割合で配分するかを決めることです。
NISA口座内だけでなく、預貯金や課税口座も含めた金融資産全体で確認しましょう。
老後の資金を整理するときは、例えば次のように使い道を分けると考えやすくなります。
| お金の目的 | 確認すること |
| 日々の生活費や近い将来の予定支出 | 必要なときに使えるよう、預貯金・個人向け国債などで確保する |
| 医療・介護や急な支出への備え | 相場が下がったときに、慌てて売却しなくて済む金額を残す |
| 当面使う予定のない資金 | 使う時期と値下がりへの対応力を確認し、投資を検討する |
| 家族に残したい資金 | 本人の生活を優先し、相続後の資金需要も考える |
必要な預貯金の額は、年金収入、年間支出、健康状態、家族の状況などによって変わります。「何歳だから株式は何%」という方法だけで決めることは避けましょう。
60代からのNISAは退職後の収支確認から
60代は、退職金の受取りや年金生活への移行など、お金の流れが変わる時期です。
まず、退職後の収入と支出を整理します。年金などで生活費をどこまでまかなえるか、住宅ローンや修繕費などの予定支出があるか、毎年いくら取り崩す見込みかを確認しましょう。
退職金がまとまって入っても、その全額が投資に回せる資金とは限りません。
近い将来に使うお金と予備資金を確保し、当面使わない部分について、NISAでの運用を検討する順番が適切です。
70代は運用と取り崩しを一緒に考える
70代では、資産を運用しながら生活費を取り崩す方もいらっしゃいます。
この場合は、投資額に加えて、「どのお金から使うか」「相場が下がったときも生活費を確保できるか」を考える必要があります。
運用中の商品を、生活費のために不利な時期に売却せざるを得ない状況を避けられるよう、預貯金とのバランスを確認しましょう。
旅行や住宅修繕など、使う時期が決まっている支出は、投資で利益が出ることを前提に計画しないことも大切です。
80代は生活の安心と管理のしやすさを優先する
80代からでもNISAは利用できます。ただし、本人が商品の内容を理解できること、無理なく管理できることを重視しましょう。
医療・介護費や住み替えなど、今後必要になる支出を優先して確保します。新たな投資を始めるほか、保有商品や口座を整理し、管理の負担を減らすことも資金計画の一部です。
家族に残す目的であっても、本人が使う可能性や、相続後に分割・納税などで現金が必要になる可能性があります。
家族が将来長く運用できそうだからという理由だけで、本人の許容範囲を超えるリスクを取ることは避けましょう。
長期・積立・分散を意識しても元本割れはある
株式や投資信託には、価格変動や為替変動などによって元本割れするリスクがあります。
長期保有、購入時期の分散、投資対象の分散は、リスクと付き合うための考え方です。ただし、一定年数保有したり、積立を続けたりすれば、必ず利益が出るわけではありません。
一括投資に不安があれば、少額から始めたり購入時期を分けたりする方法も検討できますが、必ず一括投資より有利になるとは限りません。
また、NISAでも、商品によって購入時の手数料や保有中の信託報酬などがかかります。投資対象、値下がりする要因、費用、換金までの日数を確認しましょう。
亡くなった場合のNISA口座と相談
NISAで保有していた株式や投資信託を相続することはできます。ただし、故人のNISA口座や非課税枠を、相続人がそのまま引き継ぐことはできません。
主な確認事項は次のとおりです。
・相続人は、死亡を知った日以後、遅滞なく「非課税口座開設者死亡届出書」を金融機関へ提出する
・過年度分のNISAが複数の金融機関に残っている場合、すべての金融機関に届出をする
・相続した商品は、相続人のNISAへ直接移せず、特定口座または一般口座で受け入れる
・所得税計算上の取得価額は、原則として相続開始日の時価となる
また、NISAの運用益が非課税であることと、相続税は別です。NISA資産も相続財産に含まれ、実際の課税の有無は相続財産全体や控除などで判断されます。
相続後に運用を続けるか売却するかは、相続人の意向や資金需要によっても変わります。金融機関名や保有商品を一覧にし、家族が手続きを把握できるようにしておきましょう。
年齢に合わせて設計、全年齢対応のNISA口座に
NISAは、若い人だけの制度ではありません。
「人生で今が一番若い。」
NISAをできない理由を並べたり、始めるタイミングを悩み続けるより、まずは「使うお金」と「育てるお金」を分けることから始めてみましょう。
PrivateFp合同会社では、年金や家計、保有資産、今後の支出を整理し、ライフプランに合う資産運用を考えるお手伝いをしています。
「退職金のうち、いくら投資に回せるか」「預貯金をどのくらい残すか」「運用と取り崩しをどう組み合わせるか」といった疑問からご相談いただけます。
大切にしているのは、お客様の目標や価値観に沿って選択肢を整理し、ご本人が納得して意思決定できるよう支えることです。全国からのオンライン相談に対応しています。
ご留意事項
※お客様への情報提供を目的としてのみ作成された記事です。当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的ではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された内容は予告なしに変更されることがあります。
投資商品や有価証券の選択、その他投資判断の最終決定は、投資家の自己責任の原則を基にお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。株式や債券等の値き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。記事の内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任も負いかねますので、ご了承ください。
証券投資は、投資家の自己責任の原則を基に主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。株式や債券等の値き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
また、投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。
ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。
証券投資は、預金と違い元本保証はありませんので、ご注意ください。
Q&A よくある質問
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60代からNISAを始めるのは遅いですか?
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遅くありません。60代でも平均余命は20年前後ある方が多く、資産の一部については長期運用を考えられます。大切なのは、生活費や医療費など必要なお金を確保したうえで、余裕資金で始めることです。
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70代・80代でもNISAを使う意味はありますか?
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あります。ただし、若い世代と同じように大きくリスクを取る必要はありません。ご自身が使うお金は安全性を重視し、使う予定のないお金や次世代に残すお金について、分散投資を検討するという考え方が現実的です。
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高齢になるほど株式比率は下げるべきですか?
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「自分が使うお金」については、年齢が上がるほど安全資産の比率を高めるのが基本です。一方で、「子どもや孫に残すお金」「引き継ぐ金融資産の最大化」として考えるなら、受け取る世代の運用期間も考慮できます。その場合、本人の年齢だけでなく、資産の目的でリスクの取り方を決めることが大切です。
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子どもや孫に残す前提なら、リスクを取ってもよいですか?
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一定の条件を満たすなら、検討の余地があります。たとえば、ご自身の生活費・医療費が十分に確保されており、相続人もNISAの制度理解・利用、長期運用を理解している場合です。ただし、NISA口座そのものを相続人が非課税口座として引き継ぐことはできず、相続後は特定口座や一般口座に移管されます。
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退職金を一括でNISAに入れてもよいですか?
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一括投資は悪い選択ではありませんが、価格変動の影響を強く受けます。相場下落が不安な方は、数か月から数年に分けて投資する方法もあります。積立投資は決まった金額を継続的に投資する方法であり、高値づかみを避けやすい考え方です。ただし、積立投資でも損失が出ないわけではありません。
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NISAを始めるべきですか?
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「必ず始めるべき」とは言えません。生活資金に余裕がない場合、投資よりも現預金の確保が優先です。一方で、使う予定のない資金があり、長期で保有できるなら、60代・70代・80代でもNISAは有効な選択肢になり得ます。大切なのは、年齢ではなく「目的別にお金を分けること」です。
税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。
一次情報|参考資料
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参考資料・リンク確認日:2026年10月31日。
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