【1級FP監修】外貨建て一時払い終身保険のメリットとデメリット、不要な場合も

銀行、保険会社、証券会社などの金融機関で、「米ドル、豪ドルの利回りの高い外貨建ての一時払い終身保険はおすすめです。」と外貨建て一時払い終身保険契約の勧誘があります。

PrivateFpの金融セカンドオピニオン「お金の専門家相談」にも多くの相談が寄せられています。

外貨建て一時払い終身保険は、特に資産運用を意識した方や外貨に興味のある方にとって魅力的な面が多くありますが、リスクも存在します。または、金融リテラシーが低い方が安易に契約するケースもあります。

今回は、外貨建て一時払い終身保険のメリット・デメリットについて考えていきましょう。

【結論】保険商品のため、保険としてのメリット優先、債券と比べ運用効率が悪い場合も

外貨建て一時払い終身保険のメリット

1.日本円と比べ高い利回り
外貨建て保険は、米ドルや豪ドルといった外国通貨の金利を利用するため、日本円建ての保険に比べて利回りが高くなる可能性があります。金利の高い国の通貨を選ぶことで、資産を効率的に増やすことが期待されます。

2. 為替の変動による利益
為替相場が、契約時よりも円安(1米ドル140円⇒160円)に動いた場合、解約や受け取り時に日本円換算での受け取り額が増加します。為替の動向を利用した資産運用効果を期待できる点が魅力です。

3.相続対策、納税資金対策としての利用
生命保険契約は基本的に死亡保険金受取人が指定されるため、スムーズな相続対策として活用しやすい点がメリットです。また、税制面でも死亡保険金は一定金額が非課税扱い(500万円×法定相続人数)になるため、相続税の負担を軽減できます。

 4. 一時払いのためのシンプルな運用
一時払いで資金を預ける形になるため、保険料の支払いが一度で完了します。長期間の支払い義務がない点で手間が少なく、資金管理が簡単です。

5.生命保険契約のため、資産として含まない利点
介護保険の負担限度額認定や奨学金の資産基準など、資産金額によって採用される制度の場合、生命保険契約は資産に該当しないことが多いので、資産金額を少なく申告できる場合もあります。

外貨建て一時払い終身保険のデメリット

 1. 為替リスク
為替相場が円高(1米ドル140円⇒120円)に動いた場合、受け取り時の円換算額が減少する可能性があります。
この為替リスクを避けるためには、為替予約やヘッジなどの手段が必要となることがありますが、追加の費用が発生する場合もあります。

 2. 解約リスク(解約控除)
一時払いの終身保険には、一定の期間(5~10年)解約控除が設定されていることが多く、早期解約すると元本割れが生じる可能性があります。中途解約が不利な点は注意が必要です。

3. 金利変動リスク
運用途中に海外の金利が上がった場合には、運用利率が低下し、想定していたほどの運用益を得られないリスクがあります。例えば、解約時および減額時に、運用資産(債券など)の時価を解約返戻金額に反映させる「市場価格調整」を行うため、市場金利などの変動により解約返戻金額が増減します。

 4. 手数料の負担
契約時や受取時に円と外貨の換金を行う際の為替手数料、保険種類によって、契約初期費用、保険関係費用、年金管理費用などの負担が発生します。この手数料が積み重なると、最終的なリターンが減少する要因になります。
実際には、米ドル建て一時払い終身保険の場合、保険期間と残存期間が同一の米国債の利回りと比べ、積立金や解約返戻金の利回りは低くなることが多いです。

外貨建て一時払い終身保険の賢い使い方

現在、外貨建て一時払い終身保険は、多くの保険会社から発売、金融機関窓口、代理店、営業社員を通じて販売していますが、保険商品ということを忘れずに検討することが大切です。

資産運用として、利回りや安定を重視するなら、外貨建て一時払い終身保険の運用資産である国債、社債などを証券会社を通じて購入することや、NISAで運用したい場合、国債、社債はNISAの対象でないため、NISA対象の債券ファンドを購入するなどの選択肢もあります。

PrivateFpの金融セカンドオピニオンの事例では、無料相談で知り合った他社のFPに外貨建て一時払い終身保険を1,000万円勧められたが、当社でセカンドオピニオンを受けた結果、生命保険の高額契約は不要、外貨建て一時払い終身保険は300万円で十分、残りは資金はNISAで運用するという、相談者の価値観に合った選択となりました。

外貨建て一時払い終身保険のメリット・デメリットを十分に把握して、消費者として賢い選択を行いましょう。

PrivateFpは数多くのファイナンシャルプランニングの経験から、「顧客の最善の利益」の達成を支援するファイナンシャル・プランを一緒に考えます。

税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。

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