【1級FP監修】金利上昇に備える住宅ローン設計へ

住宅ローン金利の上昇が続いています。
2026年5月からメガバンクの固定型住宅ローン金利が上昇し、三菱UFJ銀行の10年固定型が3.15%となったことが紹介されていました。
三菱UFJ銀行の公式情報でも、2026年5月の新規借入れでは変動金利が年0.945%、固定10年が年3.15%と示されています。
これまで住宅ローンは長い間「変動金利なら低く借りられる」という印象が強くありました。
しかし、2024年から金利環境はすでに変わり始めています。
これから住宅購入を考える方も、すでに住宅ローンを返済中の方も、これから大切になるのは「いくら借りられるか」ではありません。
大切なのは、金利が上がっても、教育資金・老後資金・日々の生活を守りながら返済を続けられるかです。
目次
- 1 【結論】「低金利だから買える」から「上がっても返せる」住宅ローン設計へ
- 2 過去の金利推移から見える変化
- 3 金利が上がると返済額はどれくらい変わるのか
- 4 金利上昇ストレスチェック
- 5 チェック1金利が1%上がっても返済できるか
- 6 チェック2金利が2%上がっても赤字にならないか
- 7 チェック3住宅関連費が手取り収入の25%前後に収まるか
- 8 チェック4返済額が増えたつもりで半年間生活できるか
- 9 教育資金との予算配分
- 10 教育資金で確認したいポイント
- 11 老後資金との予算配分
- 12 老後資金で確認したいポイント
- 13 住宅ローンの予算配分はこの順番で考える
- 14 1. 生活防衛資金を残す
- 15 2. 教育資金を別枠で確保する
- 16 3. 老後資金の積立を止めない
- 17 4. 余裕資金で頭金や繰上返済を考える
- 18 家計に合った住宅ローン設計を
- 19 Q&A よくある質問
- 20 お問い合わせLINE相談受付中
【結論】「低金利だから買える」から「上がっても返せる」住宅ローン設計へ
過去の金利推移から見える変化
住宅ローンの金利は、バブル崩壊後から最近までの約30年間、政策金利が低く抑えられてきたことにより、変動金利型住宅ローンの金利も低水準で比較的安定していました。
ところが、2024年3月のマイナス金利解除以降、住宅ローン金利は少しずつ上昇し始めています。
メガバンクの住宅ローン金利の流れを整理すると、次のようになります。
| 時期 | 10年固定型の目安 | 変動型の目安 | 金利環境の見方 |
|---|---|---|---|
| 2021年5月頃 | 0.8〜0.9%前後 | 0.4%前後 | 低金利が続いていた時期 |
| 2022年5月頃 | 1.1%前後 | 0.4%前後 | 固定金利がやや上昇 |
| 2023年5月頃 | 1.3〜1.5%前後 | 0.35〜0.4%前後 | 固定金利が先に上がり始める |
| 2024年5月頃 | 1.5%前後 | 0.35〜0.4%前後 | マイナス金利解除後も変動は低位 |
| 2025年5月頃 | 2%前後 | 0.6〜0.7%前後 | 変動金利にも上昇の動き |
| 2026年5月頃 | 3%超 | 0.9〜1%前後 | 固定・変動とも上昇局面に |
推移から分かることは、固定金利は変動金利より先に上がりやすいということです。
変動金利型は日本銀行の政策金利の影響を受けやすく、全期間固定金利型は10年物国債利回りの影響を受けやすいとされています。
そのため、長期金利が上がる局面では、固定金利が先に上がり、その後、政策金利の引き上げに応じて変動金利にも影響が出てきます。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策の役割は果たされたと判断し、無担保コールレートを0〜0.1%程度で推移するよう促す方針へ変更しました。
その後も追加利上げが行われ、住宅金融支援機構は、2024年3月のマイナス金利解除以降、3回の追加利上げにより政策金利が約0.75%まで上昇し、変動金利型住宅ローンにも影響が出ていると説明しています。
つまり、住宅ローンは「低金利が当たり前」の時代から、金利変動を前提に組む時代へ移っていると考える必要があります。
金利が上がると返済額はどれくらい変わるのか
住宅ローンは借入額が大きく、返済期間も長いため、金利が1%変わるだけでも毎月返済額に大きく影響します。
例えば、4,000万円を35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りた場合の毎月返済額は、概算で次のようになります。
| 金利 | 毎月返済額の目安 | 0.7%との差 |
|---|---|---|
| 0.7% | 約10.7万円 | — |
| 1.7% | 約12.6万円 | 約1.9万円増 |
| 2.7% | 約14.7万円 | 約4.0万円増 |
| 3.15% | 約15.7万円 | 約5.0万円増 |
0.7%から3.15%へ上がると、毎月返済額は約5万円増えます。年間では約60万円、10年間では約600万円の負担増です。
この差額は、教育費、老後資金、車の買い替え、家の修繕費、旅行・レジャー費などに大きく影響します。
住宅ローンを検討するときは、「現在の返済額」だけでなく、金利が上がった後の返済額で家計を必ず確認しましょう。
金利上昇ストレスチェック
住宅ローンを契約する前、または借換えを検討する前に、次のチェックを行いましょう。
チェック1
金利が1%上がっても返済できるか
まずは、今検討している金利から1%上がった場合の返済額を確認します。
例えば、4,000万円を35年で借りた場合、金利0.945%では毎月返済額は約11.2万円です。金利が1%上がって1.945%になると、毎月返済額は約13.1万円になります。
差額は約1.9万円です。この約1.9万円を、毎月の家計から無理なく出せるでしょうか。
「外食を減らせば何とかなる」程度では危険です。教育費や物価上昇、保険料、固定資産税、修繕費まで考えたうえで、毎月や毎年の年間収支を黒字を保てるかを確認しましょう。
チェック2
金利が2%上がっても赤字にならないか
次に、より厳しめに2%上昇した場合を確認します。
4,000万円、35年返済の場合、金利0.945%では毎月約11.2万円ですが、金利2.945%になると毎月約15.3万円です。
差額は約4.1万円です。毎月4万円以上返済が増えても、次の支出を維持できるかが重要です。
- 教育費の積立
- 老後資金の積立
- 生活防衛資金の確保
- 固定資産税や火災保険料
- マンションの管理費・修繕積立金
- 戸建ての修繕費
- 車関連費
- 家電買い替え費用
金利上昇時に教育資金や老後資金の積立を止めなければならない場合は、借入額が大きすぎる可能性があります。
チェック3
住宅関連費が手取り収入の25%前後に収まるか
住宅ローン返済額だけを見て判断するのは不十分です。
住宅購入後は、ローン以外にも次の費用がかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 火災保険・地震保険
- 管理費・修繕積立金
- 駐車場代
- 戸建ての外壁・屋根・設備修繕費
- 引っ越し後の家具・家電購入費
子育て世帯の場合は、住宅関連費全体が手取り収入(可処分所得)の25%を大きく超えると、産休育休の時期や教育費が増える時期に家計が苦しくなりやすくなります。
「銀行が貸してくれる金額」と「家計が安心して返せる金額」は別物です。
チェック4
返済額が増えたつもりで半年間生活できるか
実践的な方法として、住宅ローンを組む前に、金利上昇分を先取りして貯蓄してみましょう。
例えば、将来の返済額が月3万円増える可能性があるなら、今から毎月3万円を別口座に積み立てます。
半年から1年続けても家計が苦しくならなければ、金利上昇への耐性があります。
反対に、途中で積立を取り崩してしまう場合は、借入額、物件価格、返済期間、金利タイプを見直した方がよいでしょう。
教育資金との予算配分
住宅購入で最も注意したいのは、教育費のピークと住宅ローン返済が重なることです。
特に負担が大きくなりやすいのは、子どもが高校生から大学生になる時期です。
この時期には、授業料だけでなく、塾代、受験料、入学金、教材費、通学費、一人暮らし費用などが発生します。
住宅ローンの返済額が増えるタイミングと教育費のピークが重なると、家計は一気に苦しくなります。
教育資金で確認したいポイント
住宅ローンを組む前に、次の点を確認しましょう。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 子どもの年齢 | 教育費のピークまで何年あるか |
| 大学進学時期 | 住宅ローン残高がどれくらい残るか |
| 教育費の準備方法 | 預貯金・学資保険・NISAなどの役割分担 |
| 住宅購入後の積立 | 毎月の教育費積立を継続できるか |
| 進学パターン | 私立・理系・一人暮らしの可能性も想定するか |
教育資金は、使う時期がある程度決まっているお金です。
大学進学まで数年しかない場合は、住宅購入資金や頭金に回しすぎないことが大切です。
短期間で使う予定の教育費は、値動きの大きい投資商品ではなく、預貯金など安全性の高い形で準備するのが基本です。
老後資金との予算配分
住宅ローンでは、毎月返済額だけでなく、完済年齢も重要です。
35年ローンを組むと、30代後半でも完済は60代後半、40代で組むと70代まで返済が続く可能性があります。
近年は、借入額の高額化から返済期間が40~50年の住宅ローンも発売されています。
現役時代は返済できても、退職後に年金収入だけで住宅ローンを返し続けるのは大きな負担です。
老後資金で確認したいポイント
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 完済予定年齢 | 定年後までローンが残らないか |
| 退職時の残高 | 退職時点でいくら残るか |
| 退職金の使い道 | ローン返済だけに使う前提になっていないか |
| 老後資金積立 | 住宅購入後も積立を続けられるか |
| 修繕費 | 老後のリフォーム費用も考えているか |
退職金で住宅ローンを一括返済する計画は、一見安心に見えます。
しかし、退職金は老後生活費、医療費、介護費用、リフォーム費用にも使う可能性があります。
そのため、退職金を住宅ローン返済に大きく使う前提ではなく、退職金を使わなくても返済できる計画を目指した方が安全です。
住宅ローンの予算配分はこの順番で考える
住宅購入では、次の順番でお金を整理すると失敗しにくくなります。
1. 生活防衛資金を残す
住宅購入後も、生活費の6か月分から1年分程度の預貯金は残しておきたいところです。
病気、転職、収入減、育休、介護、家電の買い替えなど、予想外の支出は必ず起こります。
頭金を増やしすぎて手元資金が少なくなると、金利上昇や急な支出に対応しにくくなります。
2. 教育資金を別枠で確保する
子どもの教育費は、住宅購入資金と混ぜて考えないことが大切です。
特に大学進学まで10年以内の家庭は、教育資金を住宅購入に使いすぎないよう注意しましょう。
3. 老後資金の積立を止めない
住宅ローン返済を優先するあまり、老後資金の積立が止まってしまうケースがあります。
しかし、老後資金は長期で積み立てるほど準備しやすいお金です。
住宅購入後も、少額でも老後資金の積立を継続できる返済額に抑えましょう。
4. 余裕資金で頭金や繰上返済を考える
頭金や繰上返済は、利息負担を減らす効果があります。
ただし、手元資金を減らしすぎると、教育費や急な支出に対応できなくなります。
繰上返済は、教育資金、生活防衛資金、老後資金を確保したうえで検討しましょう。
家計に合った住宅ローン設計を
住宅ローン金利は、長く続いた低金利の時代から、金利変動を意識する時代に入っています。
これから住宅ローンを考えるときは、次の3つを必ず確認しましょう。
- 金利が1〜2%上がっても返済できるか
- 教育資金の準備を続けられるか
- 老後資金を犠牲にしていないか
住宅ローンは、人生で最も大きな借入のひとつです。
これからは「借りられる額」ではなく、金利が上がっても、家族の将来資金を守りながら返せる額で考えることが大切です。
PrivateFpは、数多くのファイナンシャルプランニングの経験から住宅ローンの金利上昇のストレスチェック、家計に価値観に応じた教育、住宅、老後予算配分の決定を支援します。
相談者に合った「最適解」を一緒に検討、お気軽に相談ください。
Q&A よくある質問
-
金利が上がっているなら、変動金利はやめた方がいいですか?
-
変動金利が悪いわけではありません。ただし、変動金利を選ぶ場合は、金利が1%、2%上がった場合の返済額を必ず確認しましょう。
-
教育資金と繰上返済、どちらを優先すべきですか?
-
教育費の支出時期が近い場合は、教育資金の確保を優先しましょう。繰上返済は利息軽減効果がありますが、手元資金が減りすぎると、入学金、授業料、受験費用に対応できなくなる可能性があります。
-
金融資産があるので住宅ローンを使わないほうが良い?
-
自身の金融資産の利回りやリターン、住宅ローンの税効果を比較検討し、住宅ローンを利用する場合でもメリットが出る場合もあります。
-
ペアローンで借入可能額を増やしても大丈夫ですか?
-
ペアローンは借入可能額を増やしやすい一方、家計リスクも大きくなります。共働きが続く前提で大きなローンを組むと、出産、育休、転職、介護、病気などで片方の収入が減ったときに返済が厳しくなる可能性があります。ペアローンを検討する場合は、片方の収入が一時的に減っても返済できるかを確認しましょう。
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