【1級FP監修】多重債務にならないお金の上手な借り方・返し方
金利の高い米国では、若者の債務返済が今問題になっています。低収入の若者が物価高の影響でローン返済にお金が回らない延滞が発生しています。
ここ、日本でも実際にインフレが去年から続いており、現在も鈍化する兆しはありません。
安易な借入れによって、多重債務になり返済にできず延滞してしまうと、金融事故として個人信用情報機関の信用情報に延滞が記録され、今後、一定期間「借りる」という金融サービス(住宅ローン、カーローン、教育ローンなど)を受けることができなくなる可能性あります。
本当に必要な時、お金が借りられるように上手なお金の借り方・返し方を確認しましょう。
個人信用情報機関
お金を借りる方の信用情報(ローン、クレジットなどの取引に関する客観的な事実を表す情報)の収集、管理、提供を行う信用情報機関が三つあります。
貸金業
①株式会社日本信用情報機構(JICC)
②株式会社シー・アイ・シー(CIC)
銀行業
③全国銀行個人信用情報センター(KSC)
信用情報機関は、消費者を保護するチェック機能があります。信用情報を提供することにより、個人の支払い能力を超えた無理な借入れが抑制されます。
信用情報機関は、各金融業者(貸金業者、銀行、保証会社)に情報を提供することによって、個人が無限にクレジットカードを作ったり、多額のローンを組んだりすることを阻止し、多重債務による破産を未然に防いでいます。
各金融業者と個人との健全な信用取引は、信用情報機関によって支えられ、消費者信用市場の健全な発展を支える社会インフラとしての役割を果たしています。
上手なお金の借り方
お金を借りるということは、当たり前ですが返済する必要があります。
お金を借りるとは、将来の収入の先取りになります。将来の収入が不安定なら借りないという選択肢が賢明と考えます。
お金を借りる時は、自問自答してください。借りるお金で買うモノ・サービスは、自分にとって「必要なもの」か「欲しいもの」かどうかを考えてみましょう。
欲しいものはお金に余裕がある時に買うこと。必要なものを優先にし、高額なモノ・サービスの時にだけ借りる選択肢を持つということです。
クレジットカード利用の分割払いやリボ払いでは手数料(金利)が発生します。一般的の金利を確認しましょう。
クレジットカードの一般的な手数料(金利)
お金を借りる際の金利を確認しましょう。銀行系ローン、消費者金融系ローンも金利は同じ金額を借入れしても金利が違います。
利息制限法では上限金利を定め、上限超えた分の金利は無効としています。
利息制限法の早見表
出典 貸金業協会 上限金利について
貸金業法では、借入金額、借入残高にも重要な総量規制というルールがあります。新規貸付けにより借入残高が年収の3分の1を超える場合に、原則として返済能力を超えるものとして禁止されています。
ファイナンシャル・プランニングの実務上では、総量規制は、貸金業者での貸付が対象になります。銀行系ローンは貸金業法のルール外の為、新規貸付が可能となりますので、借金返済のために双方から借金をして、返済が止まり延滞になっている場合があります。
銀行系ローンや消費者系ローンも関係なく、借入金額は、年収の3分の1までとしっかりルールを決めて借りるようにしましょう。
もし、必要でお金が足りない場合は、自分のお金で半分、残りを借りるという方法で利用しましょう。
上手なお金の返し方
複数の借入れがある場合には、金利や残高、返済方法に確認して見える化してみましょう。金利が高い借入を優先、支払い方法がリボ払いを優先に返済する必要があります。
また、先ほどの利息制限法から、借入金額が高額になると金利も下がる特徴があります。その特徴を利用して、おまとめローンなどを利用して、返済を一元化して金利を下げる方法も賢い選択になります。
おまとめローンは、銀行系ローンでも利用でき、消費者金融系ローンでは、総量規制の「例外貸付け」に分類される契約で借入れが可能になります。しかし、延滞などの金融事故が発生した場合などは、新規の借入れも難しくなる場合があります。
日頃からの返済態度も重要になります。もし、不必要に借入れしてしまう場合には、ご自身で借入れを自粛する貸付自粛制度があります。
お金があるのに借りる考え方
資金があり、借りなくてもいいのに借りるというか考え方もあります。金融機関では、ALMという資産と負債を一元的に管理して、リスクの最小化と収益の極大化を図るリスク管理手法があります。
個人会計で考えると、借入金利が低く、お金が借りやすいローンは、教育ローン、住宅ローン、マイカーローンなどです。
その際必要な資金は、ローンを借入れ、手元資金の資産は有効な投資先で運用するという方法は効率が良いのではないでしょうか。
最もお金が借りれない時
ファイナンシャル・プランニングの経験から、お金が借りにくい時期は老後になります。生活費が足りなくなった場合は、収入を上げる手段もありません。借入れの可能性があるとしたら不動産を担保に借入れができるだけになります。その不動産も一定以上の価値がなければ借入れすることができないのが実状です。
終わり良ければ総て良しという言葉があるように、豊かな老後の生活をしっかり考え、今から準備が必要があります。
ぜひ、お金を借りる時は、自問自答してください。借りるお金で買うモノ・サービスは、自分にとって「必要なもの」か「欲しいもの」かどうかを考えてみましょう。
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