【キャリコンFP監修】がん治療中の再就職はどう進める?長期療養者就職支援と障害者雇用

「治療が始まり、再就職活動を続けられるか不安」
「通院しながら働ける仕事はあるのだろうか」
「障害者雇用という働き方も検討できるのだろうか」
がんなどの病気で療養が必要になると、身体のことに加え、仕事や収入、これからの暮らしについて心配になることがあります。
まず大切にしたいのは、治療とご自身の体調です。就職の時期や働き方を、一度に決める必要はありません。
一方で、仕事の相談をするために、治療がすべて終わるのを待つ必要もありません。
がん相談支援センターやハローワークには、治療を続ける方の状況に合わせた相談・就職支援があります。この記事では、相談先の役割と、障害者雇用を検討する際の条件、再就職に向けた準備を整理します。
※本記事は2026年9月時点の制度・公表情報に基づく一般的な解説です。最終的な被扶養者認定は、加入先の健康保険が行います。
【結論】治療に専念し、一人で抱えず、必要な支援につながるところから相談しましょう。
再就職を急がず、「どのような条件なら働けるか」を考える
同じ病名でも、治療内容や体調、仕事への影響は人によって異なります。以前と同じ働き方ができるかどうかを、ご自身だけで判断する必要はありません。
主治医には、希望する仕事の内容も伝えながら、働き始める時期や、通院・勤務時間・作業内容で注意したい点を確認しましょう。
例えば、次のように整理すると、相談や求人選びにつなげやすくなります。
| 整理すること | 確認したい内容の例 |
|---|---|
| 通院・治療の予定 | 通院の頻度、休みが必要な曜日・時間帯、予定変更の可能性 |
| 勤務時間 | 1日・週にどの程度働けそうか、残業や夜勤についての注意点 |
| 仕事内容 | 立ち仕事、重量物の運搬、運転などで制限や配慮が必要か |
| 通勤 | 通勤時間、交通手段、混雑による負担 |
| 体調の変化 | 休憩や勤務調整が必要になったときの対応 |
| 生かしたい経験 | 続けたい仕事、得意な業務、別の職種でも生かせるスキル |
すべてを最初から完璧な必要はありません。
今分かることを整理し、治療の経過に合わせて見直していきます。
在職中の方は、退職を決める前に、休職制度や勤務調整など、現在の職場で利用できる仕組みも確認してみましょう。
最初の相談先は、がん相談支援センターやハローワーク
がん相談支援センター
仕事や生活の不安を相談
がん相談支援センターは、がん診療連携拠点病院などに設けられている相談窓口です。
看護師や医療ソーシャルワーカーなどの相談員に、治療に伴う不安だけでなく、仕事や医療費、生活費についても相談できます。
患者様ご本人だけでなく、ご家族も利用でき、その病院に通院していない方も、無料・匿名で相談できます。
主に面談や電話で対応しています。受付時間や予約方法は、各窓口で確認してください。何から考えればよいか分からない」という段階でも、相談を始められます。
PrivateFp合同会社では、ファイナンシャル・プランニングとキャリアコンサルティングの両面から、働き方に合った家計・社会保険・将来設計を支援しています。
長期療養者就職支援
治療状況に配慮しながら仕事を探す
ハローワークの「長期療養者就職支援事業」は、がん・肝炎・糖尿病などで長期の治療や通院、経過観察が必要な方の就職を支援する仕組みです。
長期療養のために離職・転職を余儀なくされ、就職を希望する方などが対象です。
在職中でも、就労の継続や退職に関する助言・支援を希望する場合は対象になります。
主な支援は、専門相談員による職業相談・職業紹介です。ご本人の同意を得た上で、病院のがん相談支援センター等と治療状況や配慮事項を共有して支援したり、連携先の病院で出張相談を行ったりする仕組みもあります。
最寄りのハローワークに「治療を続けながら再就職を考えている」と伝え、長期療養者向けの相談先を確認しましょう。
専門窓口の設置場所や、病院での出張相談の対象・予約方法は地域ごとに異なります。
| 相談したいこと | 最初に相談する窓口の目安 |
|---|---|
| 治療・生活・仕事の不安を広く整理したい | がん相談支援センター、病院の医療相談室 |
| 治療状況に合う求人や再就職の進め方を相談したい | ハローワークの長期療養者向け相談窓口 |
| 障害に伴う仕事上の制限や障害者向け求人を相談したい | ハローワークの障害者専門窓口 |
どの窓口が合うか迷う場合は、病院の相談員やハローワークの受付に、現在困っていることを伝えてみてください。
障害者雇用も選択肢になる?
手帳・求人・配慮の条件を分けて確認
がんの診断だけで、身体障害者手帳の対象になるわけではない
身体障害者手帳は、法律に定められた機能障害について、種類や程度、永続性などの基準に基づいて交付されます。
がんと診断されたことだけで交付されるものではありませんが、治療に伴う機能障害が認定基準に該当する場合は、対象になることがあります。
例えば、永久的に造設された人工肛門・尿路ストーマなどが挙げられます。一時的なストーマを同じように扱うことはできません。
該当する可能性がある場合は、主治医や医療ソーシャルワーカー、市区町村の障害福祉窓口に、認定基準や申請の流れを確認しましょう。
合理的配慮は、障害者向け求人で働く方だけのものではない
事業主には、障害者雇用促進法の対象となる方に対し、過重な負担とならない範囲で合理的配慮を提供する義務があります。対象は手帳の所持者に限定されず、一般求人で採用された方も対象となり得ます。
手帳の認定、求人の応募条件、合理的配慮、企業の障害者雇用率の算定は、それぞれ確認する目的や条件が異なります。 必要な配慮は、ご本人の希望と仕事上の支障、職場の状況を踏まえて話し合います。
PrivateFp合同会社では、ファイナンシャル・プランニングとキャリアコンサルティングの両面から、働き方に合った家計・社会保険・将来設計を支援しています。
応募準備では、経験・強みと必要な配慮を整理する
ご体調の回復とお気持ちが整ったら、これまでの培った経験を振り返り、無理なく続けられそうな仕事を検討します。
履歴書や職務経歴書では、病気の説明だけに偏らず、担当してきた業務、身につけた知識や資格、周囲との調整力なども整理しましょう。
以前の仕事をそのまま続けることが難しくても、経験の一部を別の職種で生かせる可能性があります。
病気について「いつ、誰に、どの範囲まで伝えるか」は、必要な配慮や仕事の安全性、ご本人の意向を踏まえて考えます。配慮を希望する場合は、困りごとを具体的に伝えると、応募先も対応を検討しやすくなります。
例えば、通院のための勤務調整を希望するなら、「月に1回、平日の午前中に通院が必要です。日程が決まり次第お伝えしますので、その時間帯の調整について相談できますか」といった伝え方が考えられます。
これは説明の一例であり、ご自身の実際の治療予定に合わせて整理してください伝え方に迷う場合は、主治医、ハローワークの相談員、キャリアコンサルタントなどと相談しながら準備しましょう。
療養中の生活費や医療費も、早めに相談しておく
再就職の時期を急いで決める必要はありません。一方、給付や申請には条件・期限があるため、仕事探しとは別に、暮らしを支える制度を確認しておくと安心です。
| 制度 | 確認したいポイント・相談先 |
|---|---|
| 雇用保険の基本手当・受給期間延長 | 基本手当は働く意思と、すぐに就職できる状態であることなどが要件。受給期間内に病気などで引き続き30日以上働けない場合は、受給期間延長の対象となることがあります。住所地を管轄するハローワークへ。 |
| 健康保険の傷病手当金 | 会社員等の健康保険の被保険者が、業務外の病気等で働けず、連続3日の待期を経て休み、給与が支払われない場合などに対象となります。加入先の健康保険へ。 |
| 高額療養費 | 医療費の自己負担が高額になるときは、適用される限度額や必要な手続きを、加入する公的医療保険の窓口で確認します。 |
| 障害年金 | 障害の状態、初診日、保険料納付状況などの要件を確認します。障害者手帳とは別制度で、認定基準も異なります。年金事務所等へ。 |
雇用保険の受給期間延長は、原則1年の受給期間に、働けない期間を最長3年加える仕組みです。給付を受けられる日数そのものが増える制度ではありません。 所定給付日数による例外もあるため、早めに確認しましょう。
また、傷病手当金の退職後の継続給付には、退職日まで継続1年以上の被保険者期間があることや、退職時に受給中または受給できる条件を満たしていることなどが必要です。
退職日に出勤すると継続給付の対象にならないため、退職前の確認が大切です。
PrivateFp合同会社では、ファイナンシャル・プランニングとキャリアコンサルティングの両面から、働き方に合った家計・社会保険・将来設計を支援しています。
2026年4月から、治療と就業の両立支援が事業主の努力義務に
2026年4月1日から、職場で治療と就業の両立を支援するための取り組みが、事業主の努力義務となりました。
厚生労働省の「治療と就業の両立支援指針」は、医師が反復・継続した治療を必要と判断し、就業の継続に配慮が必要な疾病等を対象としています。
主に在職者への対応を想定していますが、治療が必要な方を新たに採用し、受け入れる際にも参考にできます。
この努力義務によって、採用や希望する勤務条件が一律に保証されるわけではありません。再就職先を選ぶ際には、相談体制や通院への対応を具体的に確認することが大切です。前述の障害者雇用促進法に基づく合理的配慮の義務とは、区別して理解しましょう。
仕事と暮らしの見通しを、ご自身のペースで
療養中の仕事の悩みは、求人を探すことだけでは解決しない場合があります。治療との両立、毎月の生活費、家族との暮らし、これから大切にしたいことを、一緒に考えていく必要があります。
PrivateFp合同会社では、ファイナンシャル・プランニングとキャリアコンサルティングの両面から、家計の見通しや利用できる制度の情報整理、経験・強みの振り返り、今後の働き方の検討をお手伝いします。必要に応じて、公的相談窓口や専門家につながるための情報もご案内します。
「今は治療を優先したい」「少し先の働き方を相談したい」「まずは生活費の見通しを立てたい」。どの段階からでも、ご自身のペースで考えていきましょう。
仕事の再開時期が決まっていなくても、相談できることはあります。一人で抱えず、必要な支援につながるところから始めてみてください。
Q&A よくある質問
-
治療が終わっていなくても、再就職の相談はできますか?
-
はい。治療中や通院中でも相談できます。がん相談支援センターでは、働く時期が決まっていない段階の不安も相談できます。就職を希望する方は、ハローワークの長期療養者就職支援も利用を検討できます。働き始める時期や勤務条件は、主治医の意見とご自身の体調・希望を踏まえて考えましょう。
-
がん相談支援センターは、家族だけでも利用できますか?費用はかかりますか?
-
ご家族も、無料・匿名で相談できます。その病院に通院していない方も利用でき、仕事や生活費の不安、利用できる制度などを相談できます。受付時間や予約方法は各センターでご確認ください。
-
障害者手帳がなくても、障害者向けの就職支援を受けられますか?
-
手帳がなくても利用できる支援があります。ハローワークの障害者専門窓口は、障害により長期にわたって仕事上の相当な制限がある方なども利用できます。ただし、相談窓口の利用条件と、個々の求人の応募条件は別です。 手帳の要否や必要書類は、求人ごとに確認してください。
-
一般求人で就職する場合も、通院や勤務時間への配慮を相談できますか?
-
一般求人でも、必要な配慮について相談できます。また、障害者雇用促進法の要件に該当する場合は、手帳の有無にかかわらず合理的配慮の対象となり得ます。事業主には過重な負担とならない範囲で対応する義務があり、具体的な方法は本人と職場で話し合います。
-
応募先には、病気のことをどのように伝えればよいですか?
-
仕事への影響と必要な配慮を、具体的に整理して伝えることが大切です。通院の頻度、勤務時間や作業上の注意点、対応できる業務などをまとめましょう。伝える時期・相手・範囲は、ご自身の意向に加え、業務の安全性や必要な配慮を踏まえ、ハローワークの相談員などと検討できます。これまでの経験や強みも、あわせて伝えましょう。
税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。
参考資料
一次情報 公式サイト 国立がん研究センター がん情報サービス がんと仕事:働き方を考える
一次情報 公式サイト ハローワークインターネットサービス 障害のある皆様へ
お問い合わせ
LINE相談受付中
↓FP商品広告↓
FP節約できる広告









