【1級FP監修】教育訓練給付金制度の概要や申請方法を解説、訓練前キャリアコンサルティングが必要

教育訓練給付金は、働く人の能力開発やキャリア形成を支援する雇用保険の制度です。
厚生労働大臣が指定した講座を受講し、雇用保険の加入期間などの要件を満たす場合、本人が負担した教育訓練経費の20%から最大80%が支給されます。
ただし、すべての資格講座が対象になるわけではありません。また、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、原則として受講開始日の2週間前までに手続きが必要です。
本記事では、教育訓練給付金の対象者、3種類の給付率、対象講座の調べ方、申請期限、訓練前キャリアコンサルティングについて解説します。
※本記事は2026年9月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。受講開始日や個別事情により適用される制度が異なるため、最終的な受給資格は住所地を管轄するハローワークへご確認ください。
【結論】会社員など雇用保険に加入している方は、リスキニング・キャリアアップに訓練給付金を活用しましょう。
教育訓練給付金を利用する場合は、講座へ申し込む前に、次の2点を確認することが重要です。
- 受講予定の具体的な講座が、受講開始日時点で厚生労働大臣の指定を受けているか
- 自分が雇用保険の支給要件期間などを満たしているか
一般教育訓練では受講前の受給資格確認は必須ではありませんが、ハローワークへの事前照会をおすすめします。
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成し、原則として受講開始日の2週間前までに受給資格確認を行う必要があります。
受講開始後では対応できない手続きがあるため、「まず受講を始めてから確認する」という進め方は避けましょう。
教育訓練給付金とは
教育訓練給付金は、一定の雇用保険加入期間がある人が、厚生労働大臣指定の教育訓練を受けた場合に、教育訓練経費の一部を受給できる制度です。
対象となる教育訓練は、次の3種類に分かれています。
- 一般教育訓練
- 特定一般教育訓練
- 専門実践教育訓練
講座を修了しただけで、必ず給付金を受け取れるわけではありません。雇用保険の加入期間、受講前手続き、修了認定、資格取得、就職、賃金上昇など、給付の種類ごとに異なる要件があります。
受給資格の確認と支給決定を行うのは、受講する学校やキャリアコンサルタントではなくハローワークです。
教育訓練給付金3種類の給付率と上限
| 種類 | 基本となる給付 | 追加給付 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 教育訓練経費の20% | なし | 10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 教育訓練経費の40% | 資格取得・就職等の要件を満たすと合計50% | 20万円。追加後は合計25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 教育訓練経費の50% | 資格取得・就職等で合計70%、さらに所定の賃金上昇要件を満たすと合計80% | 年40万円。70%時は年56万円、80%時は年64万円 |
特定一般教育訓練の50%給付と、専門実践教育訓練の80%給付は、原則として2024年10月1日以降に受講を開始した人が対象です。
「50%」「70%」「80%」は追加分だけの割合ではなく、すでに支給された金額を含む合計の給付率です。
専門実践教育訓練は原則最大3年間で、80%の要件を満たした場合の通常の上限は合計192万円です。ただし、法令上最短4年となる一部の講座には例外があります。
また、各制度で基本給付に相当する算定額が4,000円以下の場合は支給されません。
一般教育訓練
一般教育訓練は、資格取得や能力向上につながる幅広い指定講座が対象です。
教育訓練経費の20%が支給され、上限は10万円です。原則として、講座修了後に申請します。
特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ一定の指定講座が対象です。
基本給付は教育訓練経費の40%、上限20万円です。講座を修了して目標資格を取得し、所定の就職・雇用要件などを満たした場合は、合計50%、上限25万円まで追加給付を受けられる可能性があります。
専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は、中長期的なキャリア形成につながる専門性の高い指定講座が対象です。
受講中は原則6か月ごとに教育訓練経費の50%、年40万円を上限として支給されます。
修了後に対象資格を取得し、就職または雇用継続などの要件を満たした場合は合計70%、さらに雇用保険上の所定の方法で算定した賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合は合計80%となる可能性があります。
「年収が5%上がれば自動的に80%になる」という制度ではない点に注意が必要です。
対象者と雇用保険の支給要件期間
教育訓練給付金は、正社員だけを対象とした制度ではありません。
パートやアルバイトでも、雇用保険の被保険者となっており、所定の支給要件期間などを満たしていれば対象となる可能性があります。
| 種類 | 初めて受給する場合 | 過去に受給したことがある場合 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 原則1年以上 | 原則3年以上 |
| 特定一般教育訓練 | 原則1年以上 | 原則3年以上 |
| 専門実践教育訓練 | 原則2年以上 | 原則3年以上 |
支給要件期間は、同じ勤務先で働いた期間だけを指すものではありません。
以前の勤務先で雇用保険に加入していた期間があり、資格喪失から再加入までの空白期間が1年以内である場合は、前後の加入期間を通算できることがあります。
過去に教育訓練給付金を受けた人は、今回の受講開始日前3年間に給付を受けていないことや、前回の受講開始後に原則3年以上の支給要件期間があることなど、複数の条件を確認する必要があります。
同時に複数の講座について教育訓練給付金を申請することはできません。
退職後に利用する場合
退職した人も、一定の要件を満たせば教育訓練給付金を利用できます。
原則として、雇用保険の被保険者資格を喪失した日から1年以内に、対象講座の受講を開始する必要があります。
「退職後1年以内に申請すればよい」という意味ではなく、「原則として1年以内に受講を開始する」必要がある点に注意してください。
妊娠、出産、育児、疾病、負傷などにより30日以上受講を開始できない場合は、申出によって適用対象期間を延長できることがあります。延長できる期間は最大19年で、資格喪失後から受講開始までの期間は合計最大20年です。
対象講座の調べ方
対象になるのは、資格の種類ではなく、厚生労働大臣が指定した具体的な講座です。
同じ資格を目指す講座でも、次の違いによって対象外となることがあります。
- 学校や校舎
- 通学・オンライン・通信などの実施方法
- 講座名や指定番号
- 受講開始日
- 指定期間
受講申込み前に、一次情報 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムで確認し、教育訓練実施機関とハローワークにも確認してください。
学校のウェブサイトに「教育訓練給付対象」と記載されていても、自分が申し込む校舎、コース、受講開始日まで対象とは限りません。
オンライン講座や通信講座も、具体的な講座が指定されていれば対象になる可能性があります。通信講座の受講開始日は、本人が最初に学習した日ではなく、教育訓練実施者が証明する教材等の発送日となるのが原則です。
申請方法
一般教育訓練の場合
一般教育訓練では、訓練前キャリアコンサルティングや受講前の受給資格確認は原則として必須ではありません。
ただし、受講後に対象外と判明することを防ぐため、受講申込み前に「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出して確認することをおすすめします。
支給要件照会は、来所、郵送、代理人または電子申請で行えますが、電話では回答してもらえません。
講座修了後は、教育訓練実施者から交付された修了証明書や領収書などをそろえて、住所地を管轄するハローワークへ申請します。
特定一般・専門実践教育訓練の場合
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、受講前に次の手続きが必要です。
- 対象講座と受給資格を確認する
- ジョブ・カードを作成する
- 訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- 原則として受講開始日の2週間前までに、ハローワークで受給資格確認を行う
- 受講開始後、給付の種類ごとに定められた時期に支給申請を行う
申請には、原則として訓練前キャリアコンサルティングで交付されてから1年以内のジョブ・カードが必要です。
申請用の訓練前キャリアコンサルティングを担当できるのは、所定の研修受講等の要件を満たす「訓練対応キャリアコンサルタント」です。
国家資格キャリアコンサルタントであれば、すべての相談が給付申請用として認められるわけではありません。相談先や予約方法は、ハローワークまたはキャリア形成・リスキリング支援センターの公式案内で確認してください。
主な申請期限
| 申請内容 | 原則となる期限 |
|---|---|
| 一般教育訓練 | 修了日の翌日から1か月以内 |
| 特定一般の40%部分 | 修了日の翌日から1か月以内 |
| 特定一般の追加給付 | 資格取得日・就職日などのうち、制度上遅い日の翌日から1か月以内 |
| 専門実践の受講中給付 | 6か月ごとの支給単位期間末日の翌日から1か月以内 |
| 専門実践の最終支給 | 修了日の翌日から1か月以内 |
| 専門実践の70%への追加分 | 資格取得日・就職日などのうち、制度上遅い日の翌日から1か月以内 |
| 専門実践の80%への追加分 | 所定の基準日から6か月経過後、原則としてその後6か月以内 |
教育訓練給付金の支給申請は、原則の申請期限を過ぎても、2年の時効が完成する前であれば申請できる場合があります。
ただし、特定一般・専門実践教育訓練の受講前手続きや、教育訓練支援給付金の認定期限とは別の問題です。期限を過ぎた場合は自己判断で諦めず、直ちにハローワークへ相談してください。
給付対象になる費用・ならない費用
給付額の計算に使用されるのは、広告上の定価ではなく、本人が実際に負担した対象経費です。
主に対象となるのは、教育訓練実施者へ支払った入学料や受講料です。
一方、次の費用は原則として教育訓練経費に含まれません。
- 資格試験や検定の受験料
- 任意で購入する教材費
- 補講費や行事参加費
- 交通費
- パソコンなどの機器代
- クレジットカードやローンの手数料
- まだ支払っていない受講料
学校による割引、返金、キャッシュバック、無料提供された機器の相当額、勤務先から受け取った受講料補助などがある場合は、原則として対象経費から差し引きます。
給付額の計算例
一般教育訓練
対象経費が30万円の場合は、次の計算になります。
- 30万円×20%=6万円
- 支給見込額:6万円
特定一般教育訓練
対象経費が50万円の場合は、次の計算になります。
- 基本給付:50万円×40%=20万円
- 追加要件を満たした場合:50万円×50%=25万円
追加要件を満たした場合でも、25万円とは別に20万円が支給されるわけではありません。すでに受給した20万円を含めて合計25万円です。
専門実践教育訓練
1年間の対象経費が80万円の場合は、次の計算になります。
- 基本給付:80万円×50%=40万円
- 70%の要件を満たした場合:合計56万円
- 80%の要件を満たした場合:合計64万円
80%の給付を受けるには、資格取得・就職等の要件に加えて、所定の方法で計算した賃金が5%以上上昇するなどの条件を満たす必要があります。
受講中の生活費を支える別の給付金
教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練給付金の受給資格者のうち、受講開始時に45歳未満で、離職して失業状態にあり、昼間通学制の専門実践教育訓練を受けるなどの要件を満たす人は、教育訓練支援給付金の対象となる場合があります。
2025年4月1日以降に受講を開始した場合は、原則として雇用保険の基本手当日額に相当する額の60%です。離職前賃金そのものの60%ではありません。
受講開始日が2027年3月31日以前であることを要する暫定措置で、2か月ごとの失業認定などが必要です。
教育訓練休暇給付金
2025年10月に始まった教育訓練休暇給付金は、教育訓練給付金とは別の制度です。
雇用保険の一般被保険者が離職せず、就業規則や労働協約等に基づき、本人の希望と事業主の承認によって連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合に、生活費を支援します。
法律上、労働者が当然に教育訓練休暇を取得できる制度ではありません。勤務先に休暇制度があり、事業主の承認や所定の手続きが必要です。
働く人をサポート
教育訓練給付金には、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があります。
給付率は教育訓練経費の20%から最大80%ですが、対象講座、雇用保険の加入期間、受講前手続き、修了、資格取得、就職、賃金上昇など、制度ごとに異なる要件があります。
特に、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、原則として受講開始日の2週間前までに受給資格確認が必要です。講座へ申し込む前に、対象講座と受給資格を確認しましょう。
PrivateFpでは、資格取得費用を含む家計設計や、働き方・キャリアプランの整理をサポートしています。
当社の一般的なキャリア・ライフプラン相談は、教育訓練給付制度上の訓練前キャリアコンサルティングや、ハローワークの受給資格確認を代替するものではありません。個別の受給資格や申請手続きについては、住所地を管轄するハローワークへご確認ください。
Q&A よくある質問
-
会社が雇用保険を入っているか調べる方法は?
-
一次情報 公式サイト 厚生労働省の労働保険適用事業場検索で調べることができます。
-
訓練前キャリアコンサルティングはどこで受付できますか?
-
管轄のハローワークで行っています(無料)。また弊社でも有料で行っています。
-
パートやアルバイトでも利用できますか?
-
雇用保険の被保険者であり、所定の支給要件期間などを満たしていれば対象となる可能性があります。雇用形態の名称だけで受給可否は決まりません。
-
自分に受給資格があるか事前に確認できますか?
-
ハローワークへ「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出して確認できます。電話による照会はできないため、来所、郵送、代理人または電子申請の方法を確認してください。
-
一般教育訓練でも訓練前キャリアコンサルティングが必要ですか?
-
一般教育訓練では原則として必要ありません。特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、受講前の訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認が必要です。
-
教育訓練給付金に税金はかかりますか?
-
教育訓練給付金は、雇用保険法第12条により、所得税や住民税の課税対象とはされません。ただし、他の給付制度や所得判定における取扱いまで一律に同じとは限りません。
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