【1級FP監修】タワーマンション節税は変わった|相続・贈与の新評価(2024年~)と影響を解説

2024年1月1日以後の相続・遺贈・贈与で取得した“居住用の区分所有財産”に適用に関係する税で大きな改正となるルールが国税庁から発表されました。
従来から「タワマン節税」と呼ばれ、富裕層などで利用されていた相続税の節税を防止する見直しになります。
今回のルールを確認してみましょう。
目次
【結論】不動産投資は相続税などの節税ありきではなく、優良な投資物件として購入を検討する。
相続税法の不動産係わる財産評価
従来の区分所有財産の評価ルールでは、相続時の建物評価は、建築費などから自治体が算定する固定資産税の評価額を使用します。
一般的には、固定資産税納税通知書として、不動産を所有している方に4~6月に自治体から送付されますので確認することができます。
土地は一般的には、毎年7月に公表される路線価を使用するか、路線価が定められていない倍率方式の評価方法です。
路線価方式の土地の評価額は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(路線価)をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。
倍率方式の土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じます。
区分所有マンションの従来評価方法では、敷地権(土地)の価額と区分所有する建物の価額の合計額により評価します。
具体的には、敷地権(土地)の価額についてはマンションの敷地全体の価額にその区分所有する建物に係る敷地権の割合を乗じて評価し、区分所有する建物の価額については固定資産税評価額により評価しその合算が評価額になります。
相続税の税率は、金額に応じて10~55%を掛けて税金納める仕組みになります。
以前のルールでは、タワーマンションは、売買に利用する実勢価格と相続時評価額に大きな乖離がありました。
実際に1億円以上で流通されるマンションの相続時の評価額が約3,500万円で評価される事例もあり、税負担の公平性の問題が指摘されていました。また、富裕層が税負担軽減ための購入事例もあります。
対象となる区分所有財産
対象は、居住用の区分所有財産(分譲マンション等)を相続・遺贈・贈与で取得した場合に2024年1月1日以後適用されます。
対象外となるのは事業用テナント等、区分登記のない一棟所有賃貸、総階数2以下の低層集合住宅、専有3室以下で親族居住の二世帯等、棚卸資産などです。
新ルールの財産評価計算フロー
新ルールでは、「1 評価乖離率」、「2 評価水準」、「3 区分所有補正率」の順に計算、評価乖離率約1.67倍以上の場合には、従来の評価額×乖離率×0.6(定率)を評価額とするルールになり、より実勢価格を反映する形になりました。
相続時の財産評価額の増額によって、相続税負担の増加になり、全国にあるタワーマンション約1,400棟の所有者に影響を及ぼす可能性があります。
公式計算
① 評価乖離率
評価乖離率=A+B+C+D+3.220
- AAA:築年数 × −0.033(築年数は“建築の時”から課税時期まで。1年未満端数は1年として計算)
- BBB:総階数指数 × 0.239(総階数指数=総階数÷33、小数第4位切捨て。地階は含めない)
- CCC:所在階 × 0.018(一室が複数階に跨るときは低い方、地階は0)
- DDD:敷地持分狭小度 × −1.195(敷地持分狭小度=敷地利用権面積÷専有面積。敷地利用権面積は敷地面積×敷地権割合で小数第3位四捨五入、狭小度は小数第4位切上げ)
② 評価水準(逆数)
評価水準=1÷評価乖離率
③ 区分所有補正率(分岐)
- 評価水準<0.6 → 評価乖離率 × 0.6(= 実勢の約6割相当へ)
- 0.6≦評価水準≦1 → 補正なし
- 評価水準>1 → 評価乖離率
(敷地利用権の補正率には下限1の特則あり/全戸所有などの例外あり)
④ 新評価額の出し方(建物・土地に乗算)
家屋の新評価=従来の家屋評価額×区分所有補正率
土地の新評価=従来の土地評価額×区分所有補正率
節税ありき不動産投資の危険
不動産に関わる税法は、時代の変化によって大きく変化します。不動産購入の目的が節税のみの場合には税法の改正により、失敗する可能性もあります。また、改正されなくても、租税回避と判断され否認される場合もあります。
近年の改正では、米国などの海外中古不動産の建物の減価償却費が計上できなくなり、総所得を圧縮させる節税方法も防止されました。
節税だけを注目した不動産購入は、今後税法が変更される可能性があると考えなければなりません。
タワーマンションに住む富裕層ではなく、サラリーマン層でも相続税の負担する可能性が増えたと考えても良いでしょう。
PrivateFpは数多くのファイナンシャルプランの経験から、自分自身に合ったライフプラン計画を支援します。
相談者に合った「最適解」を一緒に検討、お気軽に相談ください。
Q&A よくある質問
-
対象はタワーマンションだけですか?
-
いいえ。区分所有の居住用(分譲マンション等)全般が対象になります。物件特性により異なります。
税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。
公式サイト 国税庁ホームページ No.4667居住用の区分所有財産の評価
公式パンフ 「居住用の区分所有財産」の評価が変わりましたPDF
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