【1級FP監修】住宅ローンの金利タイプの選び方と審査項目のポイント

マイホームの購入や住宅ローンの借り換えを検討している方にとって、ローンの金利タイプや審査基準の把握は極めてポイントです。
今回は国土交通省が発表した令和5年度および令和6年度の調査データを基に、最新の住宅ローン市場の動向と金融機関がどのような審査を行っているのかについて、FPの視点からわかりやすく金利タイプの選び方を含めて解説します。
目次
【結論】住宅ローンの選び方は、幅広い選択肢の中から自分や家計に合ったローンを選ぶ視点が重要です。
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住宅ローンの金利タイプ、選ばれているのはどれ?
国土交通省住宅局の令和6年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書から、最も関心が高い住宅ローンの「金利タイプ」について見ていきましょう。
令和5年度の調査結果の新規貸出額における金利タイプ別割合の推移では、以下のような構成比が報告されています。
証券化ローン(フラット35など):4.5%
変動金利型:84.3%
固定金利期間選択型:9.0%
全期間固定金利型:2.1%
このデータからも分かるように、住宅ローン利用者の実に8割以上が「変動金利型」を選択しています。
変動金利型の人気の背景には、現在の低金利環境において当初の返済負担を軽減できる点が挙げられますが、日本も2024年3月、令和6年度以降から金利が上昇しています。
一方で、金利上昇リスクに備えて「固定金利期間選択型」や「全期間固定金利型」「フラット35」などを選ぶ方も一定数存在しており、今後は変動金利一択ではなく、それぞれの家計状況やライフプランに合った選択が求められています。
金利タイプの選び方の視点やポイント
以下のような視点やポイントから金利タイプを選ぶことを提案しています。
- 家計の柔軟性
変動金利型は金利が上昇した場合に返済額が増えるリスクがあるため、ある程度の家計の余裕が必要です。
ポイント
【家計収支の余裕率、ローン返済負担率、共働き可能か、家族の健康状態、家事・育児の優先順位、勤務先昇給率、キャリアプランや雇用される能力有無など】 - 返済期間の長さ
返済期間が長くなればなるほど、金利変動の影響も大きくなるため、固定金利型の方が安心感があります。
ポイント
【例、就労可能年齢や健康寿命、返済期間35~40年長期か、現在保有する金融資産の運用リターン・期間など】 - 金利予測への対応
将来的に金利が上がると見込んでいる場合は、固定型を検討する価値があります。
ポイント
【例、日本銀行の金融政策動向、日本経済の将来展望など】
単純に月々の支払い額が低いからと変動金利を選ぶのではなく、住宅ローンを金融商品と考えて、リスクとリターンのバランスを見極め、家計や価値観に合っているか検討することが大切です。
金融機関の審査方法の変化、スコアリング方式の上昇、AI活用
次に注目したいのが、金融機関における住宅ローンの審査方法の動向です。国交省の調査によれば、いわゆる「スコアリング方式」を導入している金融機関が徐々に増えてきています。
令和6年度の結果では、
- 「スコアリング方式を中心にして審査を行っている」:17.4%
- 「一部スコアリング方式を導入」:24.0%
- 「スコアリング方式は用いていない」:58.6%
令和2年度では「中心にしている」が13.2%だったことを考えると、金融業界において審査の効率化と標準化が年々進んでいることがわかります。
スコアリング方式とは、申込者の属性(年齢、年収、勤続年数、返済比率など)に点数を付けて、一定の合計点数以上であれば融資可能と判断する審査モデルです。
従来の住宅ローン審査は膨大な書類の確認や複数人による承認プロセスなど、多くの時間と人手を要する業務になり審査担当者の経験や判断によって審査結果にばらつきが生じる可能性も課題とされていました。
その課題解決として、住信SBIネット銀行は2017年にAI審査の導入、今後はメガバンクを中心に導入も進み、生成AIによって学習、強化された住宅ローンのスコアリングAI審査が一般的になると予想されます。
審査で重要とされる項目とポイントは?
国土交通省住宅局の令和6年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書から、審査の際に金融機関が考慮する主な項目やポイントは以下の通りです。
9割以上の金融機関が「完済時年齢」「健康状態」「年収」などの項目重視しています。
- 完済時年齢:98.4%
ポイント:完済時年齢80歳未満 - 健康状態:95.1%
ポイント:団信加入必要か不要 - 借入時年齢:96.0%
ポイント:借入時年齢60歳未満 - 年収:93.4%
ポイント:150万円以上 - 勤続年数:93.2%
ポイント:1年以上 - 担保評価(物件価値):90.5%
ポイント:十分に価値はあるか、融資判断に影響を及ぼす - 金融機関の営業エリア:90.5%
ポイント:エリア内に居住、エリア内に勤務 - 返済負担率(返済比率):90.3%
ポイント:35~40%以内
また、その他にも「連帯保証人の有無」「雇用形態」「申込人との取引実績」「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」「業種・職種や家族構成」「国籍」なども一定の影響を与えます。
住宅ローンに対するアドバイス
住宅ローンの審査においては、「金利の安さ」だけで判断するのではなく、自身が審査を通過しやすい条件を備えているかどうかの確認が不可欠です。
一般的なポイントをチェックしましょう。
- 勤続年数が短い場合は、転職後半年〜1年経ってから申請するのが無難です
- 返済比率は年収に対して25〜35%以内に抑えるようにしましょう
- クレジットカードや他のローン返済履歴にも影響があるため、事前に信用情報を確認することをおすすめします
- 年齢が高くなると完済年齢が問題になるため、団信(団体信用生命保険)への加入条件も併せて確認しておきましょう
- 自分、家族の信用力が高くなる金融機関を選ぶ(家計のメインバンク、勤務先のメインバンクなど)
また、フラット35などの証券化ローンは「勤続年数」「年齢」「業種・職種」「団信加入必須」などの制約が少ない一方で、金利がやや高めという特徴もあるため、幅広い選択肢の中から自分に合ったローンを選ぶ視点が重要です。
住宅ローンは「借りる」ことがゴールではなく、「これからのライフプランに合わせて無理なく返済を続けていく」ことが大切です。
PrivateFpは、一人ひとりのライフプランに合わせた住宅ローンのご提案や事前審査に向けた支援も行っております。
マイホーム購入やローン借換えをご検討の際はお気軽に相談ください。
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