【1級FP監修】為替の変動要因は?資産運用に影響する「為替の仕組み」

日本円と米ドル、ユーロ、人民元など、日常生活や投資・資産運用の場面で目にする「為替相場」。
特に近年は、急激な円安・円高が話題となることが多く、ニュースでもたびたび取り上げられています。
今回は、「為替相場がなぜ動くのか」という視点から、個人投資家にも関係の深い主な変動要因をわかりやすく解説します。
目次
【結論】短期の為替変動に一喜一憂するよりも、自身のライフプランや資産配分に基づいた長期的な視点が必要。
主な5つの為替変動要因
外貨預金を含む外国の金融商品に投資する場合には、為替の変動によるリスク(不確実性)があります。
これは、換金・満期の際に、円での手取り額が、購入(預入)時の金額を上回る場合も下回る場合もあるということです。
為替レートが変動する要因は何でしょうか。大きく分けて次の5つが代表的な要因です。
①金融政策の違い寄る金利の差
為替相場に最も強く影響するのが各国の金利の差です。
例えば、アメリカの政策金利が日本より高ければ、より利回りの良いドル建て資産を求めて資金が米国に流れ、円を売りドル買うことで円安・ドル高になります。
逆に、日米の金利差が縮まれば、円高になる可能性があります。
投資家は「どの通貨を保有していると有利か」を常に見ています。
そのため、各国中央銀行(FRBや日銀、ECBなど)の政策金利の動きや発言は、為替市場にとって非常に大きな材料になります。
②経済指標(インフレ、GDP、雇用統計など)
各国の経済指標示す経済状況も為替に影響します。
例えば、
- 米雇用統計が好調→ドル高要因
- 日本のGDP成長が鈍化→円安要因
などです。
特に、消費者物価指数(CPI)や労働市場を示す雇用統計は中央銀行の「金融政策」に直結するため、市場の注目度が高い指標です。
③地政学的リスク・国際情勢
紛争や戦争・テロ・政情不安などが起きた際、安全資産とされるスイスフランや円が買われ、「有事の円高」が起きることがあります。
しかし、近年の中東情勢の緊迫化では円安が進む動きもありました。有事の円買いは弱くなっている一面もあります。
一方、政権交代や経済制裁といった国際的な政治イベントも、通貨の信用リスクに影響し、為替相場を不安定にします。
④貿易収支や海外投資など国の経常収支
貿易収支も為替に影響します。
例えば、日本が輸出超過(貿易黒字)の状態にあると、外貨を円に交換する動き(外貨を売って円を買う)が強まり、円高になりやすい傾向があります。逆に、輸入超過(貿易赤字)が続くと、円を外貨に交換する動き(円を売って外貨を買う)が強まり円安圧力に向かいます。
日本では、東日本大震災以降、原子力発電の停止でエネルギーの輸入増加とエネルギー価格の高騰などにより貿易赤字が定着化、円安進みやすいの要因の一つとなっています。
少子化高齢化、人口減少の内需減少から企業・個人による投資を国内より海外に成長の源泉を求めている動きがあります。
その結果、円を売りドルなどの通貨を買う円安圧力に繋がります。
⑤投機的な売買、日銀・政府などプレイヤー介入、投資家心理
為替市場の市場参加者の取引には、短期的な値動きを狙う投機的な取引が多数存在します。これにより、市場が過剰に反応してレートが急変することもあります。
過度な円安を対応するために政府などによる為替介入も急変の要因となります。
また、上記の為替変動の要因からの投資家心理やリスク選好・回避傾向も為替市場に影響します。
為替変動と私たちの生活・資産運用
為替相場の変動は、私たちの生活や投資にも以下のような影響を及ぼします。
外貨建て資産の評価損益・・・たとえば、米ドル建て債券や株式、投資信託を保有している場合、円安で外貨資産が上昇して含み益に、円高で減少して含み損になります。
輸入品価格の変動・・・円安になると、海外からの輸入品やエネルギーコストが上昇し、物価上昇(インフレ)に影響します。逆に円高になると、輸入品が割安に購入できます。
海外旅行・留学コストの増減・・・為替次第で、同じドル建ての支払いも円安時に割高、円高時に割安になります。
為替を読むのは難しい?だからこそ長期分散が重要
為替相場の予測は、プロでも難しいとされる分野です。
経済指標、中央銀行の政策、地政学など、さまざまな要因が絡み合うため、短期的な予測に頼りすぎないことが大切です。
私たちFPとしては、個人の金融資産運用設計においては「為替の変動を見越した資産の分散投資」、「必要に応じて為替ヘッジを活用する」、「中長期的な視点を持つこと」などのバランスある設計を推奨しています。
為替相場は、経済・金利・国際情勢など、さまざまな要因で日々動いています。
個人の生活や資産運用にも少なからず影響するため、基本的な知識として理解しておくことはとても重要です。
短期の為替変動に一喜一憂するよりも、自身のライフプランや投資計画に基づいた中長期的な視点での対応が、これからの時代に求められていくでしょう。
常に変化がある金融市場で、PrivateFpは数多くのファイナンシャルプランニングの経験から、ゴールベースでお客様の金融資産運用設計を支援します。
お気軽に相談ください。
税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。
お問い合わせ
LINE相談受付中
↓家計を節約できるFPおすすめ広告↓