【1級FP監修】賢く所得控除を理解して所得税・住民税を節税

所得税や住民税は、1月1日~12月31日の1年間の所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得額に税率を乗することにより算出される仕組みです。

所得税の場合、会社員などは既に給与支払い時に源泉徴収制度よって徴収されています。その後年末調整によって、税額を確定する仕組みです。自営業者、確定申告が必要な方(初めての住宅ローン控除や医療費控除など利用する方)の場合には、2月16日~3月15日まで確定申告を行います。

住民税の場合、年末調整や確定申告のデータを基に、1月~3月に区役所や市役所などの自治体が計算し、4月~5月に納税者(勤め先企業)に決定通知を送付、6月~翌年度5月に渡って支払います。

今回は、個々の事情を加味して所得から差し引くことができる所得控除を紹介します。
FP実務では、所得控除を利用できる条件が揃っているが利用していない場合が多いため、今一度、所得控除を内容を確認しましょう。

所得控除

所得控除は全部で15種類あります。誰でも利用できる控除から該当すると利用できる控除加入していると利用できる控除があります。

社会保険料控除
(誰でも)

納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料などを支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。
社会保険料控除は、健康保険や年金保険、介護保険料、雇用保険料、労災保険の特別加入者の負担分などが該当します。

小規模企業共済等掛金控除
(加入すると)

納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合、その支払った金額について所得控除が受けられます。小規模企業共済等掛金控除は、独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ小規模共済契約の掛金、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金(iDeCo)が該当します。

生命保険料控除
(加入すると)

納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
生命保険料控除は、計算式が定められおり所得税最高12万円、住民税最高7万円になります。 
関連記事】 生命保険料控除の上手な使い方

地震保険料控除
(加入すると)

納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
地震保険料控除は、計算式が定められおり所得税最高5万円、住民税最高2.5万円になります。

ひとり親控除
(該当すると)

納税者が婚姻をしていないひとり親であるときは、所得税35万円、住民税30万円の所得控除を受けることができます。
ひとり親控除は、生計を一にする子(総所得金額等48万円以下)の存在や控除を受ける方の合計所得金額が500万円以下、事実上婚姻関係の一定の人がいないなど条件があります。 
【関連記事】ひとり親を支援する社会保障

寡婦控除
(該当すると)

原則としてその年の12月31日の現況で、上記のひとり親に該当せず、夫と離婚したあと婚姻しておらず、扶養親族がいる人で合計所得金額が500万以下の方または、夫と死別した後婚姻していない方、夫の生死が明らかでない一定の人で合計所得金額が500万円以下の方は、所得税27万円、住民税26万円の所得控除を受けることができます。

勤労学生控除
(該当すると)

納税者の合計所得金額が75万以下、特定の学校(学校教育方に規定する大学、専門学校など)生徒、学生であるときは、所得税27万円、住民税26万円の所得控除を受けることができます。

障害者控除
(該当すると)

納税者、同一生計配偶者または扶養親族が一定の障害者に当てはまる場合には、1人つき障害者、所得税27万円、住民税26万円、特別障害者、所得税40万円、住民税30万円、同居特別障害者、所得税75万円、住民税53万円の所得控除を受けることができます。
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配偶者控除
(該当すると)

納税者に控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。控除配偶者の条件は、民法の規定による配偶者、納税者と生計を一にしている、年間の合計所得金額が48万以下(給与所得のみ場合は年収103万円以下)、青色・白色事業専従者でない要件があります。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額控除額(12/31時点70歳以上場合)
900万円以下所得税38万円(48万円)
住民税33万円(38万円)
900万円超950万円以下所得税26万円(32万円)
住民税22万円(26万円)
950万円超1,000万円以下所得税13万円(16万円)
住民税11万円(13万円)
配偶者控除早見表

配偶者特別控除
(該当すると)

納税者の配偶者に合計所得金額が48万円(給与所得のみ場合は年収103万円以下)を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、納税者と配偶者の合計所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。

配偶者者の合計所得金額納税者合計所得 金額900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
48万円超95万円以下所得税38万円
住民税33万円
所得税26万円
住民税22万円
所得税13万円
住民税11万円
95万円超100万円以下所得税36万円
住民税33万円
所得税24万円
住民税22万円
所得税12万円
住民税11万円
100万円超105万円以下所得税31万円
住民税31万円
所得税21万円
住民税21万円
所得税11万円
住民税11万円
105万円超110万円以下所得税26万円
住民税26万円
所得税18万円
住民税18万円
所得税9万円
住民税9万円
110万円超115万円以下所得税21万円
住民税21万円
所得税14万円
住民税14万円
所得税7万円
住民税7万円
115万円超120万円以下所得税16万円
住民税16万円
所得税11万円
住民税11万円
所得税6万円
住民税6万円
120万円超125万円以下所得税11万円
住民税33万円
所得税8万円
住民税8万円
所得税4万円
住民税4万円
125万円超130万円以下所得税6万円
住民税6万円
所得税4万円
住民税4万円
所得税2万円
住民税2万円
130万円超133万円以下所得税3万円
住民税3万円
所得税2万円
住民税2万円
所得税1万円
住民税1万円
配偶者特別控除早見表

扶養控除
(該当すると)

納税者に控除対象扶養親族(その年12月31日時点年齢16歳以上)となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
扶養親族に該当する範囲は、納税者と生計を一にする配偶者以外の親族(6親等内血族、3親姻族)、年間の合計所得金額が48万以下(給与所得のみ場合は年収103万円以下)などの条件があります。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族所得税38万円
住民税33万円
特定扶養親族(その年12月31日時点年齢19歳以上23歳未満)所得税63万円
住民税45万円
老人扶養親族(同居老親以外の者)(その年12月31日時点年齢70歳以上)所得税48万円
住民税38万円
老人扶養親族(同居老親等)(その年12月31日時点年齢70歳以上)所得税58万円
住民税45万円
扶養控除額早見表

基礎控除
(誰でも)

納税者の総所得金額などから差し引ける控除です。合計所得金額が2,400万円以下所得税48万円、住民税43万円2,400万円超2,450万以下所得税32万円、住民税29万円2,450万円超2,500万円以下所得税16万円、住民税15万円の所得控除を受けることができます。2,500万円超は0になります。

雑損控除
(該当すると)

災害または害虫による異常な災害、盗難・横領によって一定の資産に損害を受けた場合に一定の金額の所得控除ができます年末調整では適用できないので確定申告が必要になります。ただし、詐欺や恐喝は雑損控除が適用されません。

医療費控除
(該当すると)

1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超える場合に所得控除を受けることができます。


計算式
(年内に支払った医療費合計額ー保険金など補填額)ー※10万円=医療費控除の金額

※総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%の金額を差し引く

寄付金控除
(該当すると)

納税者が国や地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人などに対し、特定寄附金を支出した場合には、所得控除を受けることができます。特定寄付金の範囲内が定めてあります。

賢い扶養控除を、還付申告は時効5年

FP実務では、所得控除を確認していくと、自分自身のご家族(配偶者や子供)はきちんと配偶者控除・配偶者特別控除や扶養控除の該当し、控除を利用していますが、生計を一にしている自分自身の親や配偶者の親などの扶養控除が漏れている場合が多いです。
別居でも仕送りなどで生計を一にしていると該当する場合もあります。

老人扶養親族(その年12月31日時点年齢70歳以上)は、所得控除の金額も大きいため、利用できる場合に大きな節税効果が見込めます。
年末調整や確定申告などで申告を忘れてしまった場合は、申告時期の5年以内に「更正の請求」を行い、払い過ぎた税金を還付してもらうことができます。

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